「生活の中で毎日利用している電気は、どのように造られているのか」のシリーズです。
この度は、長野県大町市にある「新高瀬川発電所」(東京電力)をご紹介します。
長野県大町市と言えば、黒部第四発電所(関西電力)のアプローチとして有名ですが、その扇沢より南側に秋には紅葉の名所、高瀬川渓谷があり、その高瀬川渓谷の地形をを利用した環境に優しいロックフィルダムの高瀬川ダム、そしてそのダムの水を利用し揚水発電をしている新高瀬川発電所があります。高瀬川ダムへは一般の車では行くことができません。新高瀬川発電所も事前予約をしてしか内部を見学することができません。その基点ともなる「高瀬川テプコ館」にて事前予約し、マイクロバスに乗り見学することができます。
「新高瀬川発電所」は揚水式発電所といい、夜間など電気があまる時間帯に下池の水を上池に汲み上げて溜め、電力需要がある時間帯にその水を落として発電を行なう方法です。高瀬ダムを上池、七浦ダムを下池にして揚水発電を行なっています。発電と揚水は同じ水車で行ないます。揚水の時は、水車を発電の時とは反対に回します。
新高瀬川発電所では、その周辺一体が中部山岳国立公園となっている為に、環境保護の為と雪の対策か発電所一体が山の地下に作られています。発電所入り口は、山の中のぽつんとある一つのトンネル。この中に大きな発電所があるなんて外からでは考えられないほどです。トンネル入り口のゲートをくぐりしばらく行くと大きな発電所が現れます。大きな発電機や水車をあげる為に天井が高く、天井にはクレーンが着けられています。高さ55m、幅27m、奥行165mの大空洞の発電所本館には我が国最大級の発電電動機とポンプ水車が4台据え付けられ、合計最大出力128万KWの大容量発電所です。丁度音訪れたときは発電機はすべて停止していました。
新高瀬川発電所の上池の高瀬川ダムは、その工事で採取したダムの底の岩石や砂利を積み上げて築いたダムです。コンクリート製のダムに比べて幅は大きくなりますが、資材の確保や運搬や環境面からみると、自然に溶け込んだ優しいダムと言えます。北アルプスからの雪解け水に合わせ流木も多く流れてきているようで、月に1度ダム湖面の清掃が必要だそうです。そのまま放置しておけば極端に話、新高瀬川発電所の水車へ引っかかります。その清掃した流木は、ウッドチップにしリサイクルしているそうです。高瀬川テプコ館では、清掃したダムの流木のウッドチップを植木鉢として成形し販売しております。